SHIFTBRAIN Inc.
取材・文:瀬尾陽(JDN)

公開日:2018/07/03

あの職場は、ココがちがう!

シフトブレインの根源的な合言葉「WORKS GOOD!」。その思いをカタチにした15周年プロジェクトの裏舞台

SHIFTBRAIN Inc.

徹底したヒアリングから課題抽出をし、最良のコミュニケーション設計を行い、デジタル領域を中心としたデザイン、テクノロジー、コミュニケーションプランニングを得意とするデジタルプロダクション「SHIFTBRAIN Inc.(以下、シフトブレイン)」。会社創設15周年を迎えるにあたり、彼らが新たに掲げたスローガンは、「ワークするクリエイティブ」と「一人ひとりのためのワークスタイル」を追求する「WORKS GOOD!」だ。このコンセプトに基づいた取り組みが、同業者の間では大いに話題になった「全社16連休」、そしてスタッフ全員に対して第三者のライターによる2時間のロングインタビューを敢行し、社内限定の「中間文集」をつくるという手の込んだプロジェクトだ。なぜこのような取り組みを行うのか?そこにはどんな思いがあったのか?このプロジェクトを推進してきた、プランナーの西山ジョンさん、アートディレクターの藤吉匡さん、同社を俯瞰した立場から見るスタジオマネージャーの佐藤あやさん、広報の松沢香織さんにお話をうかがいました。

「WORKS GOOD!」はシフトブレインの根源的な合言葉


スタッフ全員に対して第三者のライターによる2時間のロングインタビューを敢行し、社内限定の冊子としてまとめられる「中間文集」。これは社外に対してのPRではなく、あくまでも「インタビューを受ける体験」を提供すること、また、それぞれが「大切にしているもの」を知り合うことを目的としているそうです。インタビューの内容は会社からの校閲が一切なく(!)、スタッフ全員分の“いま”が集約された純粋なドキュメンタリー。スタッフだけでなく家族にも配られるのだそうです。加えて、インタビューに先立って各スタッフが定めた、「WORKS GOOD!」に対する自分なりの解釈をモチーフ化したビジュアルも作成。ポスター化して社内に掲示し、スローガンの浸透に一役買っています。

「WORKS GOOD!」というスローガンに対して、スタッフそれぞれの解釈をモチーフ化したビジュアル

「WORKS GOOD!」というスローガンに対して、スタッフそれぞれの解釈をモチーフ化したビジュアル

――WORKS GOOD!というプロジェクトがスタートした経緯を教えてください

西山ジョンさん(以下、西山):最初はシフトブレインの15周年をどうやって盛り上げていくかを話してたんですけど、みんなで共有できる合言葉を探しているうちに、「シフトブレインとは何ぞや?」というところまで話が深くなっていきました。15周年だからなにかしよう……ということではなくて、もうちょっと根源的な合言葉を模索していくようになり、結果として生まれたのが「WORKS GOOD!」でした。シフトブレインは、制作会社としての「ワークするクリエイティブ」と、一人ひとりがより良い人生を送れるような「いい働きかた」の取り組みに力を入れています。これらはすでにうまく循環しているけれども、今後もさらにいいサイクルで回していこう……そんな思いを統合する言葉がほしかった。もともと、「WORKS GOOD! Magazine」というWebマガジンを弊社のプロジェクトマネジャー・大竹(麻奈)が運営していたこともあり、だったら拝借してしまおうということで思いつきました。

僕はプロジェクトの取りまとめや進行、それと先述のポスターに入れるコピーワークを行いました。藤吉はアートディレクター/デザイナーなので、ビジュアライズ全般を担当しています。アウトプットは基本的に僕と藤吉で一緒に進めていますね。

藤吉匡さん(以下、藤吉):僕は去年の秋くらいから途中参加で、最初はコンセプトワークからスタートしていて、それがもうちょっとカタチにするのが見えてきた段階で召喚されました。

――なぜ「中間文集」をつくることになったんですか?

西山:「中間文集」に掲載されるインタビューの目的は、他者に対して発信するというより極めて内に向いたもので、スタッフそれぞれが自分を顧みる良い機会をつくりたかったからです。「WORKS GOOD!」というテーマに対して、一人ひとりが選んだモチーフにはそれぞれの理由があります。なんとなく選んだケースもあると思うんですけど、「なぜそれを選んだのか?」を深く顧みていくのはインタビューという形式をとるからできると思っていて、それを丁寧に紐解いていこうとすると、自ずとこれまで自分が何をやってきたか、これから何をやっていきたいかってところに繋がっていくんですよね。

インタビューの原稿は最終的に社内限定の冊子にする予定です。みんなが何を考え、何をやってきたのか、そして何をしていきたいのか、普段の仕事のコミュニケーションだけではあまり話さないことが文字になって、その人の一人称で何千字というボリュームで語られているわけです。僕はすでにインタビューを受けた人たちの原稿を読んでいるんですけど、それがめちゃくちゃいいんですよね。中間文集が完成して、みんながほかのスタッフのインタビューを読んだ時にきっとこの会社がもっと好きになるだろうなって。

――そもそも「中間文集」という言葉になじみがないのですが、このネーミングはどこから?

西山:とある週刊誌に語感が似てますよね。それが覚えやすさに繋がっていると思いますし、みんなの本音が詰まっているという意味ではゴシップなので、実はただのダジャレではありません。……というのは後付けですが、みんなのこれまでのことと、これからのことが1つの冊子になるので、「文集」という言葉がいいなと思いました。「中間」としている意図としては、また2年後にも同じことをやろうと思っているからです。今回のインタビューでは消化不良のまま終わる人もいると思うんです、自分が本当に何をやりたいのかわからないなって。当然、人生は続いていくので、それはそれで良いと思っています。これを定期的にやっていけば、「当時の自分」と「いまの自分」を比較していけるじゃないですか。なので、やっぱり「中間文集」以外にないなと。ただ、あたかも自分で考えたかのようなことを言いましたが、同じプランナーの者に考えてもらいました。すみません。

藤吉:これをアーカイブしていったらかなりおもしろい。会社としての価値になりますよね。実はプロジェクトの全体像は現時点で、社内でも限られた人間しかまだ知らないんです。みんなある程度骨組みは把握しているんですけど、でもそれが自分にとってどういう効果をもたらすのか、そこまでは見えていないはずです。ある程度の実感はあると思うんですけど、プロジェクト自体が15周年とそれ以降に、なんらかのポジティブな影響が出るように飽きないような仕組みにしています。

つくって終わりというよりは、つくった後もこれ自体がジワッと自分に響くような構造になっているというか。誰がどのスローガンとモチーフなのかわかっている人もいれば、わかっていない人もいて、映像の中でも誰かと誰かが絡むようにつくっている。わかっているこっちはニヤニヤしながらつくっているんですけど(笑)。

西山ジョンさんのスローガンは「うまいこと言いたい」

西山ジョンさんのスローガンは「うまいこと言いたい」

――それが後々「こういうことだったのか!」と紐解かれていく感じなんですね?

西山:そうです。最終的には自分の中で見出したものがその人にとっての解だと思うので、それのきっかけをつくっているような感じですね。

――ゴールデンウィークを含んだ16連休は大いに話題になりました。どのような経緯で実施することになったのでしょうか?

西山:僕から代表の加藤に「事実として残るようなニュースをつくってほしい」と提案して、そこから加藤と取締役の安友が相談して生まれたものです。スローガンって基本的にはあまり意味がないと思っているんですよ。例えば、企業の社長室に飾られた、額に入った筆文字とかありますよね?それを見た社員は「そうだそうだ」なんて思わない。スローガンはそれを機能させて浸透させないといけなくて、そのためには衝撃的な事実とともにスタートを切るのがいいだろうというのが経緯です。

――ちなみに16連休を過ごされた感想はいかがですか?

西山:そうですね……もちろん良かったんですけど、実は休む前がちょっと大変でした。忙しくて(笑)。連休中は大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台になった浜松に、奥さんと一緒に旅行へ行きました。それは16連休ではなくても行けたんですけど……。あとは、世の中の多くの人たちが働いている時に、お昼に起きるというのはいい意味での背徳感がありますよね。

藤吉:僕は嫁さんが妊娠しているので育休的な使い方になりました。つわりが辛い時期だったので、本当に良いタイミングでした。毎日ありがとうと言われましたね。

――16連休の実施後にアンケートを取られたそうですが。

松沢香織さん(以下、松沢):結果としてはスタッフからは悪い意見が全然なくて、「来年もあるといいな」という感想がほとんどでした。16連休は日本の会社ではなかなか実現できないことなので、「お金よりも価値があった」「時間の大切さに気付いた」というコメントもありました。また軍資金として現金で5万円が支給されたので、「せっかくだから何かやらなきゃという気持ちが生まれた」といった感想もありました。総じて社員に良い影響を与えられたのかなという感触はあります。

佐藤あやさん(以下、佐藤):ほかにも「リフレッシュできて仕事の意欲にも繋がった」「モチベーションが上がった」という人が半数を超えていました。逆に休みが長過ぎて「早く仕事がしたい!」と思った人もいたみたいです。16連休の間は緊急対応が出てきた案件もあったのですが、それ以外はほぼ全員ほとんど仕事をせずに過ごせたようです。それを実現することが可能なんだということがわかっただけでもすごい収穫でした。

あと、「勉強する時間ができて良かった」という人も数名いましたね。普段まとまった時間が取れないから、新しい技術の勉強になかなか手を出せていなかったけれど、この期間で取り組むことができたみたいです。みんな本当に勉強が好きだなぁと思いました(笑)。シフトブレインらしいですね。

社員の声から制度が生まれるインディペンデントな社風


――クオリティの高い制作物を生み出してきた一方で、シフトブレインにはユニークな制度も多いですよね?

藤吉:いろいろなユニークな試みをしている会社って、わりと社長のアイデアや発言からというのが多いと思うんですけど、シフトブレインが意外とそうじゃないってところがおもしろいところですね。「こういうのがあったらいいな」と、ボソッとスタッフがつぶやいたところからはじまった制度が多いと思います。ちなみに、僕がこの会社で1番好きなのが、シエスタ制度、要するに昼寝なんですけども(笑)。

佐藤:会社としては、スタッフのちょっとした意見をキャッチアップできるようにしています。毎月アンケートを実施していて、そこで挙がってきたものは毎週行っている代表とのミーティングで絶対に一度は話し合うようにしているんです。

藤吉:そこに実際の労力をちゃんとかけるところが、たぶんほかの会社とちょっと違うところだと思います。

――スタッフから挙がった意見で決まった制度はどんなものがありますか?

佐藤:制度のほとんどがそうかもしれません。シエスタもしかりですし、副業制度やサークル活動支援、週1でフルーツ支給などもそうですね。あとは毎週火曜日に近所の仲の良い2社と一緒に、3社スタッフのための社員食堂を開催しています。シェフの方に弊社のキッチンでランチを作ってもらったり、同じ町内の八百屋さんに野菜たっぷりのランチBOXを届けてもらったりしています。もちろんスタッフの希望を全部叶えられているわけではないですが、代表と話し合い、できるだけ実現できるようにしています。

朝はコーヒー、グラノーラ飲み食べ放題

朝はコーヒー、グラノーラ飲み食べ放題

――シフトブレインの社風はどのようなものですか?

西山:本当に語彙力のなさを露呈しているようで恥ずかしいんですけど、みんないい人。いい人にもいろいろあると思うんですけど、こと仕事に関して言うと、個々のセンスとかスキルがそれぞれ圧倒的に高いし、手を抜こうとする人が誰もいないというのが1番ですかね。クライアントの要望とか制約というのは受託制作なので付きものなんですけど、自分らしい猛烈な主観を必ず盛り込んでくる。僕はそれがすごい大事だと思っていて、制約があるなかでも、その人なりに「これが絶対いい」と思うポイントを必ず入れてきてくれるので、僕は毎回感動させられるんですね。それは当然クライアントにも伝わるので、スムーズにいくことが多い。実はそれが早く帰れる秘訣なんじゃないかなと思ってたりするんですよ。

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藤吉:僕は前職にいた6年くらい前から、1番信頼を置ける制作会社という「最強の引き出し」としてシフトブレインとずっと付き合っていました。みんな若いのにすごい自分の頭で考えてる感があったのと、それぞれのスタッフを見ると個性はバラバラなんですけど、組織としての節度のある感じというか、誠実さみたいなものを感じていました。実際に入社してみたら、みんなが誰かしらに一目を置いている状態という理想的な関係性というか、それがいいなと思いますね。シフトブレインは完全にインディペンデントだから、上の目を気にするとかじゃなくて、自分たちのリアルな感覚で実験して試せるというのが、オフィスのつくりとか社風とかにも現れていると思うんですよね。

シフトブレインの社内風景

シフトブレインの社内風景

――クライアントの心を掴む要因として、なにが1番大きいと思いますか?

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松沢:言われた通りのものをつくるというよりは、クライアントと一緒に考えてつくり上げていくことを大切にしているからかもしれません。はじめの提案の段階で、クライアントに代表やアカウント担当からシフトブレインが「制作をする上で大事にしていること」を必ずお話しています。ただかっこいいサイトをつくるのではなく、何のためにそのサイトをつくるのかという目的やゴールもしっかりヒアリングしながら、その会社の強みや個性を引き出し、「意味」と「価値」があるサイト制作、見てもらいたい人に見てもらうためのデザインやサイト設計を心がけています。

西山:僕はアウトプットの前のプランニングに関わっているので、できれば「こちらの握りです」と言いたいんですけど、実際はアウトプットのクオリティでしょうね。デザインをお見せすればほぼ毎回期待を超えられている実感があります。そこでハードルは上がるんですが、実装したサイトでもさらに驚いていただけているので、本当に素晴らしい人たちとチームを組めることは幸せですね。

<編集部が感じた、「この会社に入りたい!」ポイント>

企業や製品のブランディング、採用、キャンペーンなどを中心に、紙・デジタル・映像の範囲での制作を幅広く行っているシフトブレイン、同業者から評判が高く「憧れのプロダクション」として名が挙がることも多いです。同社の制作物のクオリティの根幹を支えているのは、会社としてのビジョンを自分たちでつくっていこうとする態勢、そしてスタッフがそれぞれに敬意を払っているからだと感じました。自分たちの働き方、ひいては生き方も考えてく姿勢は「インディペンデント」そのもの。「ワークするクリエイティブ」をつくり、「一人ひとりのためのワークスタイル」を追求する、これからクリエティブ業界に必要なことかも知れません!

PROFILE
SHIFTBRAIN Inc.
デジタル領域を中心にコミュニケーションプランニング、デザイン、テクノロジーまでを一気通貫で行うデジタルクリエイティブエージェンシー。企業/製品のブランディング、採用、キャンペーンなどを中心に、紙/デジタル/映像の範囲での制作を幅広く行っています。
http://www.shiftbrain.com/
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