株式会社フラクタ
構成・文:開洋美 撮影:木澤淳一郎 編集:瀬尾陽(JDN)

公開日:2019/02/04

働き方インタビュー PR

フラクタだからできること。ECサイトという強みを軸にしたブランディング

株式会社フラクタ

大野隆 CCO/ブランディング・アートディレクター

小野花織 ブランディング・アートディレクター

店舗に足を運ぶことなく、いつでもどこにいてもクリックひとつで簡単に商品を購入できる「ECサイト」の普及は、平成を振り返る上でも欠かせないできごとの一つだろう。株式会社フラクタ(以下、フラクタ)は、自社の強みであるECサイトの構築というデジタルテクノロジーを活かし、ブランディングのためのさまざまなプロジェクトを展開する。おもなクライアントには、皮革製品の老舗である土屋鞄製造所(以下、土屋鞄)も。大手のエージェンシーとは一味違った、コンパクトながらも自社ならではのコミュニケーションのあり方を模索する同社のCCO(チーフクリエイティブオフィサー)大野隆さん(入社6年目)と、アートディレクターの小野花織さん(入社3年目)に、お仕事の魅力について伺った。

さまざまなポテンシャルを秘めたブランディングのあり方


Q.フラクタの事業内容を教えてください

大野隆さん(以下、大野):フラクタはECサイトやAIなどのデジタルテクロジーを駆使したブランディングエージェンシーです。ブランドの戦略コンサルティングから課題解決、システム開発、ECサイトの構築、デジタル・アナログを問わないクリエイティブ開発など、ブランドの成長を視野に入れた取り組みを行っています。

フラクタの前身は、ECサイトの制作を中心に行う会社です。2013年に、強みであるECサイトの構築を軸にブランディングのサポートができないかと、スピンアウトしてできたのがフラクタなんです。以前は実際に店舗に行かないと買えなかったものが、ECサイトの普及でどこでも購入できるようになり、ユーザーとのコミュニケーションのハードルも下がりました。そういった意味でブランド独自のECサイトは、ユーザーにダイレクトに価値や魅力を伝えやすい点でブランディングにとても有効だと考えています。弊社はもともと色々なECサイトをつくるところからスタートしているので、サイト運用やシステム周りなど専門領域の経験を積んだメンバーが多く、その知見を活かした提案ができるのが強みです。

大野隆さん

Q.おふたりのお仕事内容を教えてください

大野:おもにアートディレクターとしてブランド戦略に関わっています。例えばブランドがどういうイメージを持たれるべきか、何を発信しユーザーにアピールしたいのかなどをヒアリングしながら、どのような表現や施策に落とし込むかを考えていきます。ブランド立ち上げの場合はフルでお手伝いさせていただくことが多いですが、既存のブランドさんの場合は自社で解析したデータをもとにお客様の課題解決に務めることが多いですね。

小野花織さん(以下、小野):私もアートディレクターなので基本的な仕事内容は同じです。クライアントから「こういうものをつくりたい」と依頼をいただいたらリサーチから始まり、具体的なアウトプットに落とし込むに当たってイメージをつくり方向性を決め、協議しながらブラッシュアップしていきます。

小野花織さん

大野:アウトプットのイメージとしては、ECサイトをはじめ商品パッケージ、ポスター、ブランドロゴからCI・VIの明確化、動画の作成、あとはプロモーションや展示会の設計なども行います。例えば、弊社でお付き合いさせていただいている土屋鞄さんの新たな試みの一つにランドセルの体験型イベントがあるのですが、そういったことも今お手伝いしています。

1965年創業の老舗鞄ブランド「土屋鞄製造所」。フラクタでは、AWSインテグレーション・テクニカルディレクション・サポート・ウェブサイトデザイン・ウェブディレクション・システム設計を担当

Q.お仕事の中で大事にしている点

大野:全体を俯瞰して見る視点です。つくっている時はどうしても全体が見れているようで見れていなかったりするので、ポイントポイントで振り返って「これはどうだったかな」と意識しつつ、必要に応じて視点も切り替えるようにしています。

小野:お客様との向き合い方です。弊社の強みとクライアントの悩み、それぞれの要素をどう汲み取って形にしていくか。こちらからの提案をよいと思ってもらえればまた別のオーダーが派生することもあるので、ブランドの成長に貢献できるよう、そのバランスの見極めは毎回考えるところです。

Q.最近手がけた印象的なお仕事

大野:いまちょうど手掛けている、「objcts.io(オブジェクツアイオー)」というレザーアイテムブランドのブランディングです。もともと土屋鞄の方々が独立して立ち上げたブランドで、実店舗はなくECサイトのみです。「デジタル製品やデジタルガジェットが好きな人のために洗練された革製品をつくりたい」とECサイト制作のオーダーをいただき、ロゴやサイト、発送用のパッケージなどをデザインしています。ブランドのもつミニマルな世界観やプロダクトの洗練された雰囲気をデザインに反映し、サイトの機能選定もコンパクトさを重視しました。

お話をいただいたのが一昨年くらいで、そこから打ち合わせを重ねて昨年の10月にローンチしたのですが、ありがたいことにクライアントさんにはとても喜んでいただいています。もちろん我々だけでなくクライアントの方々の努力あっての結果ですが、売上も好調だと聞いています。まだスタート段階なので今後の方向性についてもいろんなアイデアが出ていて、これからユーザーの方の反応なども出てくると思うので楽しみですね。

2018年に本格ローンチしたレザーアイテムブランド「objcts.io(オブジェクツアイオー)」。フラクタでは、ロゴ制作、サイト構築、ディレクション、アートディレクション、配送パッケージデザイン、システム設計、テクニカルディレクションを担当

小野:私も進行中の案件なのですが、とある美容系ブランドの立ち上げにほぼゼロベースから関わらせていただいています。市場のリサーチからはじまり、そのブランドがどういう位置付けでどういう人に使ってほしいのか、どういうアイテムがあればいいのかなどをクライアントの方とブレストしながら練っていくのですが、いまはちょうどブランド名とブランドコンセプトの部分を考えているところです。リリースはまだ先なので長期的なプロジェクトになるのですが、最終的にどういう形にもっていくのがベストか、ゴールを想像しながら取り組んでいるところです。

これまでは既存ブランドのサイト制作だったり、シーズンプロモーションにおける施策提案や制作に主に携わってきましたが、ブランドの立ち上げに最初から関わるのは初めてなので、今後印象に残るプロジェクトになると思います。

過去、シーズンプロモーション制作を行ったアメリカ生まれのスキンケアブランド「IN FIORE」。日本向けに展開するにあたり、シーズンコンセプト立案から、ビジュアル制作、プロモーションツール、Web等のアートディレクションとデザインを担当。プロモーションの一環として、旗艦店のイベント企画なども行った。

能力を伸ばせる環境で積極的に提案し、のびのびと仕事をする


Q.フラクタに入社したきっかけ

大野:前職はグラフィックデザイナーで、ポスターやフライヤーなどの印刷媒体を中心に手がけていました。いま考えるとWebサイトやロゴを制作したり、VI的な要素も一部ではかじっていました。その中で転職を考えたときに、これまでは表現に重きを置いてきたのでもう少しデザインを機能させるという点を重視して仕事をしてみたいと思ったんです。そこで知人が紹介してくれたのがフラクタでした。実際につくっているものはロゴやWebサイトで前職と大きく変わらないのですが、軸が変わったというか。

化粧品メーカーアルビオンと医薬品会社ナノキャリアの共同開発により誕生したスカルプケアブランド「Depth」。フラクタでは、ブランディング、ブランド開発、WEBロゴ制作プロダクトデザイン(3Dプリンター活用)、ディレクション、アートディレクション、システム開発/設計、マーケティング、プロモーション、運用を担当

以前は自分のポジションもあって純粋に「制作」に意識が向いていたのが、いまはブランディングを中心により多角的な視点でものを考えなければいけない点でとても勉強になっています。ただ、前職で培った土台はブランディングを考える際にとても活きていますし、グラフィックデザインもアートディレクションもコミュニケーションの一環だと考えれば、前職から地続きでそこにさらに新しい考え方や視点を肉付けしている感じです。紙・Web、どんな媒体であってもアウトプットの形式が違うだけで、基本的な考え方は大きく変わらないと思っています。

小野:私も以前はデザイン事務所でデザイナーとして働いていて、書籍や冊子などの紙媒体が中心で、Webに携わる機会は 多くはありませんでした。フラクタに入社したきっかけは、個人的なつながりでショップのロゴやカード、メニューやサイト制作など全体的にお手伝いさせていただく機会があったのですが、もっと色々やってみたいとブランディングに興味が湧いたことです。

入社する前は、例えばブランド立ち上げの初期の部分からメインで担当させてもらえたり、自分の意見を提案できて、任せてもらえる機会がこんなにもあるとは思っていませんでした。もちろん、さまざまな分野に長けたメンバーとともにプロジェクトを進めていくのですが、毎回とても刺激的ですし勉強になります。「商品としてどうあるべきか」などの議論は普段のデザイン作業とはまた違った視点や考え方が必要になりますが、求められる領域が広い分、やりがいもあります。

Q.社風や雰囲気を教えてください

小野:社員は全体で40人くらいですが、男女比だと女性が多くて7:3くらいです。平均年齢は30歳前後と若めです。デザイナー、エンジニア、ディレクターなどいろんな領域のメンバーがいるのですが、そこの壁や上下関係もあまりなく、みんながフラットに付き合える雰囲気があります。とはいえ常にベッタリというわけではなく、ちょうどいい距離感やバランスを保っている気がします。

大野:あとは弊社の代表が社員にかける期待値がとても高く、成長に対する投資には惜しみません。書籍の購入、セミナーや勉強会への参加、たとえそれがコストがかかったとしてもそこに価値を見出せば承認してくれます。「こういうことがやりたい」「こういう機材を購入したい」と提案したものに対して、そこに深い思慮があれば「ノー」と言われた記憶はないですね。社員の意見を聞き入れる社風はあると思います。ただそれはあくまで先行投資であって、我々社員が成長することで会社に返していかなければいけないと思っています。

同社には、ハイスペックPCを完備した「研究開発室」と4Kプロジェクタを完備した「セミナースペース」があり、 社内外の勉強会・展示会・講演などで活用。 社員がハイパフォーマンスを発揮できる設備を整え、そこでのコミュニケーションからアイデアが創出できるような空間として設計されている

昨年は、フォトジェニックな空間が世界的話題になったポップアップショップ「アイスクリームミュージアム」を見るために、サンフランシスコまで行ってきました。アメリカではインスタグラムのフォロワー数もとても多かったので、新しいイベントの考え方を吸収するのとアメリカのイノベーティブなブランドとそのEC事情も兼ねて視察してきてほしいという代表からの提案だったのですが、とても勉強になりました。フラクタはモチベーションの高い人や、やりたいことが明確にある人にとっては、自分の能力を伸ばせるとてもいい環境だと思います。

Q.今後のビジョンや目標

大野:ECサイトが普及したことでブランディングの裾野は広がったと思うんです。そしてデジタルの恩恵でブランドができるようになったことがたくさんあるし、 それはこれからも増えていくでしょう。そのような中で大手のエージェンシーとはまた違った、我々ならではのアプローチで何かおもしろい仕掛けができればいいですね。弊社で今着目しているのは日本のブランドなのですが、土屋鞄さんがその代表例でもあり、ほかにもお酒、伝統工芸、世界に誇れる素晴らしいブランドが日本にはまだまだたくさんあります。その価値や魅力を引き出して、世界で勝負できるブランドにする。そのサポートをしていくことが会社全体としての今後の指針です。

小野:少し個人的なことになりますが、例えばイマーシブ系のイベントや展示会など、ブランドの「体験」という部分を今後つくっていく中で、アナログにもデジタルにも属さないおもしろい体験の場をつくれたらいいなと思っています。そこでのユーザーへのアプローチの仕方やコミュニケーションのあり方に新たな可能性を感じているので、色々なブランドさんに新しい提案ができればと考えています。

Q.ご自身のお仕事をほかの言葉で例えると?

小野:一言でうまく表現しづらいのですが、私は幼少期から物語をつくるのが好きだったみたいなんです。例えばほぼゼロの状態からつくり上げていくブランドの立ち上げなどは、ストーリーを考えることと似ているような気がしていて。だから小さい頃に好きだったことといまの仕事が、実は繋がっているのかなと考えることがあります。

大野:二面あるような気がしていて、ある一面は課題を見つけて適切な処置を施すことで解決するお医者さんのような役割。ある一面では埋もれている価値を発掘することで世の中の価値観を多少なりとも動かす役割。課題をどうこうというと少しネガティブな印象にもなってしまうので、後者のようなポジティブな考え方で仕事に向き合っていければいいなと思います。

PROFILE
株式会社フラクタ
Web・ECといったデジタルを得意とするブランディングエージェンシーです。デジタルにとどまらず、あらゆる分野であなたのブランドに最適な施策を提供しています。

大野隆 CCO/ブランディング・アートディレクター

2013年に株式会社フラクタに入社。ブランディングにまつわる制作のアートディレクションとデザインを担当。制作に限らず、コンセプトワークやブランドのコミュニケーション設計も含めブランドとユーザーを繋ぐタッチポイントのあらゆる場面の設計に関わっている。

小野花織 ブランディング・アートディレクター

2015年に株式会社フラクタに入社。Webやビジュアル制作、プロモーション企画・制作等に携わる。最近ではクライアントワーク以外に、自社のオフィスデザインをしたり、社内チームの新規事業として、食に関連したセレクトショップオープンに向けた商品の買い付けからコンテンツ企画など、食を盛り上げる活動も行っている。