公開日:2017/09/04
※以下の情報は2017年9月4日時点の情報となりますので予めご了承ください。
※「オイシックスドット大地株式会社」は2018年7月「オイシックス・ラ・大地株式会社」へ社名を変更し、10月にらでぃっしゅぼーやと経営統合しました。
まずは、オイシックスドット大地株式会社(以下、Oisix.daichi)という会社概要について改めて説明していきましょう。
2000年6月にオイシックス株式会社として設立、eコマースサイト「Oisix」を実験的に立ち上げ、生鮮食品20品目からスタートしました。以来、「子どもに安心して食べさせられる食材」をコンセプトに、有機・特別栽培野菜、添加物を極力使わない加工食品など、多様な食品と楽しい食生活に役立つ情報を「Oisix」で提供してきました。2016年12月には、有機・無農薬野菜販売の草分け的存在である「大地を守る会」との経営統合について合意し、2017年7月にオイシックスドット大地株式会社に商号変更しました。
全国から安全でおいしい食材を厳選してお届けするサービスを展開してきた、Oisix.daichiではどんな働き方ができるのか? 今回は、EC事業本部 ユーザー・エクスペリエンス室でアートディレクターを務める荒金知乃さん(入社7年目)と、サービス進化室のUIデザイナー藤井風太さん(入社5年目)に、Oisix.daichiが目指していることや大切にしていること、そこでの働き方などについてお話をうかがいました。
——まずはおふたりの入社のきっかけから教えてください。
藤井風太さん(以下、藤井):私は新卒で入社しました。といっても、学生時代からインターンとして働いており、6年くらい在籍しています。当時、通っていた専門学校では、企業でインターンとして働くカリキュラムがあり、インターンとしてオイシックスで働くことになりました。
当時から、学生でも関係なく大事な仕事を任せてもらい、成果を出したら評価してもらえる環境でした。自分のデザインしたWebのPVや売上などの成果がすぐにわかることにおもしろさを感じるようになったことが、オイシックスで正社員として働くことを決意したきっかけです。
荒金知乃さん(以下、荒金):私はデザインの学校を出た後に、デザイン事務所でグラフィックデザイナーとして3年間働き、その後に1年間バンクーバーに行きました。現地ではオーガニックスーパーが流行っていて、日本にもこういうのがあったらいいなあ…と思っていました。帰国して求人を探していた時に、バンクーバーで感じた「あったらいいなあ」と近いことをしている会社だなと思って受けました。以前から、より上流の工程に関われるインハウスデザイナーとして働きたいと考えていたこともあります。
——おふたりはいまどんなお仕事をされているんですか?
藤井:Oisix.daichiのメインの事業はEC事業ですが、私が所属しているサービス進化室は、新しい事業の柱となるようなサービスを開発したり、現在成長中の「Kit Oisix」をより成長させることを考えながら、サービスの進化させていくという部署です。そこで「Kit Oisix」の買い物体験を向上させるためのUIデザインをしています。
荒金:私はユーザー・エクスペリエンス室という部署で、冊子やWebのデザインディレクションをしています。「Kit Oisix」のWebは、雑誌やテレビを通じて「Kit Oisix」を知った人たちに最初に見ていただくページです。
「Kit Oisix(ミールキット)」の宅配サービス
https://www.oisix.com/shop.kounyuu–oic_intro_shinki_kit__html.htm
なので、サービスをまったく知らない人に商品やサービス内容を理解してもらい、「これなら私でも使えそう、使ってみたい!」と思ってもらって、お試しセットを購入してもらうことを目標としています。このページの改善を担当したところ、改善後に約30倍以上の獲得ができるようになりました。改善前は言いたいこと全部盛りみたいな状態で(笑)、ちょっと混沌とした感じでした。それを企画者と一緒に、目的や問題点をすり合わせ、お客さまヒアリングをもとに伝えるべき要件を整理して、デザインを改善していきました。
私たちはお客さま理解に力を入れているので、リアルな声を聞いた上で、どういうコンテンツがあったら入会していただけるか?ということを導き出し、そこにフォーカスして見せていくことを考えています。
荒金知乃さん
藤井:お客さまへのヒアリング体制は整っていると思います。社長に同行し、お客さまのお宅に訪問してお話を聞かせていただいたり、オフィスにお客さまを招いて、ローンチ前の新サービスに触れていただき、デザインの改善も重ねています。
荒金:デザイン事務所で働いていたときは、「Webをつくってください」とか「カタログをつくってください」といった、クライアントの要望が定まった状態で発注がきていたんですけど、いまは「新規会員の○○人の獲得を目指していて、売上の達成目標はいくらで……」といったところからデザイナーの仕事は始まります。ゼロから考えてつくっていくのは、インハウスデザイナーならではの醍醐味だと思います。
——Oisix.daichiでの仕事のおもしろさはどんなところにありますか?
藤井:言われた仕事をそのままやるのではなく、「こういうことをやりたい!」と発言したことを積極的にやらせてくれるところがすごくいいなと思っています。入社時は特集ページのビジュアル面でのデザインをしていたのですが、もっとUIの勉強をしたいと思って手を挙げたら、UIのデザインがメインの部署に異動させてくれたりしました。いま所属しているサービス進化室は企画者とより近い部署なので、一緒に企画に関わってUIデザインからコーティングまでトータルでつくっていける環境にいます。
荒金:やりたいことをやらせてくれるというのは本当にそうですね。もちろん効果が期待できるのなら、というところは大前提としてあるんですけど。「Kit Oisix」のWebページ作成の時も、最初はイメージ写真を撮影したいという依頼だったとしても、より効果的に訴求するならWebをつくりなおした方がいいんじゃないかと提案すると、「Webをつくりなおそう!」となります。コンテンツ内容も、映像で伝えた方がわかりやすいんじゃないかと提案すると、「映像も撮ろう!」となります。目的達成できそうなら手段を狭めずに、やりたいことをどんどん形にしていくカルチャーです。
藤井:デザイナーの意見をちゃんと聞いてくれる環境なので、いろいろ提案できますね。
荒金:それはやっぱり目的達成意識がすごく高いからだと思っています。企画者に対してデザイナーからも意見を言うし、企画者からもデザインに対して意見を言ってきます。本当にお客さまに刺さるのか?きちんと効果が出るのか?というところをお互い議論します。最終的に良いものになれば、どちらから意見しても構わないという感じですね。
——良い意味でセクショナリズムがないということですね!
荒金:そうですね。それはないと思います。
藤井:そういう意味では社内の風通しはすごくいいと思います。
——会社として大事にしている“らしさ”みたいなものはありますか?
荒金:会社の行動規範のひとつに「お客さまを裏切れ」というのがあって、誕生日プレゼントでサプライズをするように、ちょっと嬉しいことをお客さまにも提供しようと考えています。例えば、初めてお試しセットを購入してくれたお客さまには、レシピブックを同梱したりしています。Oisixで売っている野菜はカレーとかにしちゃうと、ほかのところで買うのとあまり差がなくなってしまうんですけど、シンプルな調理方法で食べた時のおいしさはすごい差が出てくると思うので、簡単においしく、オシャレに盛り付けられるレシピブックをお届けしています。味覚も視覚も期待を越える体験をしてもらう工夫をしています。
藤井:個人的に気に入っている会社の取り組みは、「ブランド体感会」と呼ばれるイベントですね。取引先の農家さんのところで実際に収穫の体験をさせてもらったり、採りたての野菜を食べさせてもらえるイベントが年に4回くらい開催されています。
収穫して社員みんなで食べるというのはいい文化だなって思います。農家さんが野菜に込めた思いがわかりますし、そもそもうちで売っている野菜はなんでこんなにおいしいんだろう?というのを理解できるので、デザインをする時にリアリティを出せるというところはありますね。
荒金:“らしさ”というものとは違うかも知れませんが、社外での良いサービスを体験することを推進している社風です。私はデザインのインプットのために毎年のように海外旅行に行っています(笑)。個人の裁量に任せてくれるので、ちゃんと調整することができたら有給休暇は取りやすい環境です。
あと、弊社は女性社員がすごく多いんですね。割合で言うと5:5くらいで。最近、お子さんを産んだ社員が復帰するタイミングが重なり、この3月に14名も復職されたので「復職式」を開催しました。産休からの復帰率は96%とかなり高く、復帰しやすい環境と復帰後に活躍できる環境を整えて「ママの働き方」というところにも力を入れています。
藤井:リモートで勤務できる態勢を制度として整えているので、育児や介護などをしている社員にとってもすごく働きやすい環境だと思います。
——水野学さんがクリエティブディレクターに就任したのはニュースでしたね
荒金:水野学さんには、2016年からクリエイティブディレクターに就任いただいて、Oisixのブランディングをけん引していただいてます。ほかにもデザイナーのクリエイティブを審査、表彰するクリエイティブアワードを毎月開催し、デザインのクオリティ向上にご協力いただいています。やはり、水野さんのような著名な方に自分のクリエイティブを見てもらい、審査をしてもらうことで、デザインの質はもちろん、デザイナーのモチベーションもどんどん上がっているなと感じています。
現在、野菜ジュースの「Vegeel(ベジール)」や「Kit Oisix」など、Oisixロゴが入ったプライベートブランドや、Oisixだけで販売しているオリジナル商品は全体売上の30%くらいあるんですが、今後Oisixでしか買えない商品やサービスを強化するにはデザインの力も必要と感じています。お客さま一人一人の楽しいお買い物体験を提供するOisixの強みをデザイナーとして引っ張っていきたいです。
——最後に、今後おふたりはどんな仕事をしていきたいですか?
藤井:会社としてのスピード感がすごく早く、PDCAを回すのがものすごく早いので、いまの部署では1人でデザインからコーティング、時には企画にも入ることが求められています。私もいろんなことができるプレイヤーになりたいと思っているので、いまは勉強中の身ではあるんですが、もっとUIデザインの勉強をして質を上げて、コーティングにしてもいろんな言語を学んでいきたいですね。
荒金:私はグラフィックからWeb、動画と広げてきたので、今度は深める方向にいきたいなと思ってます。自分の足で産地に行ったりして、食×デザインの領域をより深めて、デザインの力で1つ1つの商品の良さをもっとお客さまに伝えていきたいです。
いかがでしたか? Oisix.daichiには、高い目標達成の意識と徹底したお客さま目線があり、その上で社員の自主性を重視している会社だと感じました。それにしても、産休からの復帰率96%というのは驚くべき数字ですね。やはり大きく成長を遂げてきた理由のひとつには、多様な「働き方」を尊重する土壌を積極的につくってきたところにありそうですね。食×デザインの新たな領域を切り開く、Oisix.daichiのこれからに注目です。