hey株式会社
タイトルロゴ:かねこあみ 編集:堀合俊博(JDN)

公開日:2020/05/25

働き方インタビュー

【HOW WE WORK REMOTELY vol.4】hey

hey株式会社

荒木脩人 デザイナー

コワーキングスペースやシェアオフィスの普及、時差出勤・フレックス制度といった働く時間の変化、さらには働き方改革による副業の解禁など、ここ数年、さまざまな働き方についての議論が進んできました。そんな中、COVID-19の感染拡大という状況を受けた急速なリモートワークへの切り替えが進む2020年は、これからの働き方について考えていく大きな区切りとなる年になりそうです。

多様化が進む働き方のひとつの選択肢として、今後の「リモートワーク」のあり方について考える「HOW WE WORK REMOTELY」。今回は、hey株式会社の実践例をご紹介します。

誰でもかんたんに本格的なネットショップがつくれる「STORES」とキャッシュレス決済導入サービスの「STORESターミナル」を手がける同社は、「Boost hey」という独自の福利厚生など、働きやすい職場づくりを積極的に実践しています。同社の荒木脩人さんに、現在フルリモートで働いているheyのインハウスデザイナーのみなさんの実践例についてお話しいただきました。

Q.リモートワークはいつから実践していますか?

もともと週に1回はリモートワークが可能となっていましたが、2/16から全社でリモートワーク推奨となり、それ以来デザインチームは半分以上がリモートで勤務していました。

その後、会社全体で一度フルリモートの実験をしておいた方がいいだろうということで、3/26に1日だけ行う予定でしたが、都知事の会見を受けて急遽全員フルリモートでの勤務が決定。予行練習なしでいきなり本番実施となりましたが、現在では全員がフルリモートで仕事をしています。

以前から12:00〜16:00をコアタイムとするフレックス制度を採用していましたが、フルリモートになってからも基本的にコアタイムの変更はありません。一部お子さんがいるご家庭に対して、コアタイムを自由に設定できるフルフレックスを選択することができるようになりました。また、暫定的な対応として、共働き&子育て家庭の平日の負担を軽減することを目的に、土曜出勤&平日代休もオプションとして用意しています。それぞれ、活用している社員が数名います。

自宅での作業にあたって、ほぼ全員がPCを持ち帰っています。外部ディスプレイや椅子などの他機材も、希望者には会社が郵送しています。

Q.リモートワークのメリットは何だと思いますか?

打ち合わせなどに物理的な場所を必要としないので、それまで起きていた「ミーティングルーム足りない問題」が解消されたのはメリットだと思います。基本的にインハウスデザイナーなので、自社サービスの新機能開発や改善などのプロジェクトがメインなのですが、対面で会わなくても進行できるプロジェクトが意外と多いんだなという驚きはありました。というか、まあまあ普通に仕事ができています。

あとは、移動時間のストレスが減った人は一定数いると思いますね。稼働時間のコントロールもしやすいので、生活リズムがつくりやすい側面があると思います。

恵比寿にあるheyのオフィスエントランス

Q.逆に、リモートワークのデメリットは何だと思いますか?

恵比寿にあるheyのオフィスは広いワンフロアで、経営陣も含めいろんな職種がフラットに並んでおり、気軽な雑談も多い環境だと思います。複数人でランチに行くことも多いですし、19時以降は無料で自由にお酒が飲めるので、息抜きに飲みながら会話する風景もありました。リモートワークになってからは、目的を達成するためだけの直線的なコミュニケーションが多くなっているので、そういった雑談や気軽なコミュニケーションが減ったという意見が多く出ています。

フルリモートになってから実施した社員アンケートを「note」で公開していますが、「ランチなどで雑談する機会が減ったのはとても悲しい」「たまにミーティング冒頭で雑談をするのですが、本題が控えているので引目に感じてあまり盛り上がらないようにしよう、と思ってしまう」「違うチームの人とラフに話す機会がない」などの意見がありました。

また、「ミーティングルーム足りない問題」解消によってミーティングの数が増え、日中がミーティングで埋まってしまう人が増えるというデメリットも多少発生しています。ほかにも、在宅での作業だとずっとディスプレイを見てるので疲労感を感じやすくなったり、通勤時間がなくなった分、早く働きはじめて遅くまで働くようになった人も多いです。

フルリモートになる前から、ある程度自宅でも作業できる環境は整っていたとは思いますが、Wifiの接続状況が時間帯によって遅いことや、毎日仕事するとなると自宅の机や椅子ではつらいなど、人によって支障が出てきています。会社からリモート環境を整える補助金が全員に2万円出ているので、机や椅子を買う人、テレビ会議用のマイクを買う人など、それぞれに環境投資しています。

Q.リモートワークのために使用しているツールや、おすすめのものを教えてください。

コミュニケーションツールは「Google Meet」「Slack」がメインです。映像にエフェクトをかけてくれる「Snap Camera」というツールは、部屋や顔を見られたくない時やアイスブレイクに結構活躍してくれますが、リモート生活も長いので若干飽きがきています(笑)。

ビデオ通話やボイスチャットができる「Discord」では、常時音声接続することで会話不足や孤独感の解消を行っています。ほかにもおすすめのツールとしては、「USBマイク」は社内でもそれなりに利用者が多く、音声が聴きやすいので打ち合わせのロスも少ない印象です。

荒木さんが購入したUSBマイク

荒木さんが購入したUSBマイク

ツールではないですが、毎日お昼過ぎに「STORES」「STORESターミナル(旧:Coiney)」を含むheyのみんなで、ハングアウト上でラジオ体操をしています。毎日決まった時間に5分ほど開催していて、参加したい人が自由に参加するスタイルです。ちょっとした気分転換になっていますね。

あとは「Minecraft」を推したいと思います。デザインチームメンバーでオンラインゲーム内にオフィスを再現すべく、みんなでDiscordをつないでワイワイとオフィスビルを建造しました。謎の一体感が生まれて楽しかったです。もちろん、それは業務時間外です(笑)。

「Minecraft」内で再現されたオフィスの外観

「Minecraft」内で再現されたオフィスの外観

「Minecraft」内のオフィスでの打ち合わせの様子

「Minecraft」内のオフィスでの打ち合わせの様子

Q.リモートワークを通して気付いたことや、感じたことを聞かせてください。

これまでよりも一層、同じ情報ソースを参照して議論を進めるために、きちんとした議事録を然るべき場所に残すというのが大事になってきています。

あと、ビデオ会議は性質上複数の会話を並行させることができないので、ちょっとした会話がやりにくいなと感じています。パートナーがいる人の場合は、家の構造上ビデオ会議がやりづらい場合もあり、それはなかなか解決が難しそうです。とはいえ、この状況が永続的に続いたとしても事業が成長を続けられるような組織をつくっていきたいですね。

今後は大きな変化というより、細かい気遣いがより重要になってくると思っています。話す回数を増やしたり、説明コストを下げるための事前の準備だったり、より丁寧なコミュニケーションが必要だと思いますし、それはフルリモートではなくなったとしても必要なことだと思います。

また、ある程度リモートワークに順応した現在では、今後はむしろどんな時に出社すべきか/したいかといった議論もはじまっています。

Q.リモートワークをする上で「こんなものがあればいいのに」などのアイデアがあればお聞かせください。

リモートワークで困るのはやっぱりインターネット環境なので、誰もが大きくコストをかけることなく、簡単に高速なインターネットに常時接続できるといいなと思います。

あとは、ハンコや領収書などがデジタルで完結できるようになるとより効率的だと思います。

Q.最後に、リモートワークを実践している方に、メッセージやアドバイスがあればお聞かせください。

必要な時に必要な働き方を選べるということは、単純に運がいいだけだなと感じていて、リモートワークかそうでないのかはそんなに重要な話ではないと思います。

このような状況下で、医療従事者や物流を支える方々、そのほかにも見えないところで社会を動かしている全ての方々に感謝と敬意の念をお伝えしたいです。我々も、職種に関係なくそれぞれができることを着実にやっていきたいなと思います。

この新型コロナウイルスによる社会の混乱が一刻も早く解消することを願っています。

heyのオフィス

PROFILE
hey株式会社
誰でもかんたんに本格的なネットショップがつくれるSTORESや、キャッシュレス決済をかんたんに導入できるSTORESターミナルなど、個人や小さなチームのこだわりや活動をサポートするサービスを提供しています。
https://hey.jp/

荒木脩人 デザイナー

STORESのデザイナー。主にデザインチームのマネジメント業務を担当。趣味は盆栽。