株式会社プラグ
取材・文:開洋美 撮影:里永愛

公開日:2016/12/22

働き方インタビュー PR

「デザイン×リサーチ」でオンリーワンのポジションを築く

株式会社プラグ

反迫洋輔 アートディレクター

大島絹子 アートディレクター

デザインとリサーチという2つの専門スキルを強みとして、パッケージデザインを中心に手がける株式会社プラグ。現在デザイン部内の同じチームで、ともにアートディレクターを務める入社15年目の反迫洋輔さんと、新卒入社から着々とキャリアを積んできた入社5年目の大島絹子さん。クライアントとの関係性を第一に真摯な姿勢で仕事に向き合うふたりに、パッケージづくりの裏側や仕事のやりがい、今後の展望などをうかがった。
Q. お二人のお仕事内容を教えてください

反迫洋輔さん(以下、反迫):株式会社プラグは、パッケージデザインを中心に商品づくりのサポートをしています。1988年にスタートしたデザイン会社のアイコーポレーションと、1982年にスタートしたリサーチ会社のCPPが1つになって2014年に立ち上がりました。元々あった2つの領域を引き継ぎ、いまもデザイン部とリサーチ部があります。課題の分析や市場調査など、詳細なリサーチに基づいた裏付けのもとデザインを行なうのが最大の特徴ですね。実際にアートディレクターも商品開発の現場に足を運んでクライアントにヒアリングをするので、クライアントの悩みにダイレクトに気がつけるのが弊社の良いところです。

反迫洋輔さん

反迫洋輔さん

私は2005年に入社し、今はデザイン部でアートディレクターを務めています。私と大島のチームでは、薬やキッコーマンなどの食品パッケージを中心に制作しています。「ものが売れない中でどうしたら売れるのか」。それを解決するのが会社としてのいちばんの価値なので、解決のためのストーリーづくりを営業・リサーチスタッフと一緒に考えてアウトプットしていくのがおもな仕事です。デザイン部の成長ももちろんですが、デザインとリサーチが合わせられたときの成果に会社としての未来があると思うので、「デザイン×リサーチ」の精度を上げること、理にかなったアウトプットを出すことがいまの私のミッションですね。

株式会社プラグでパッケージデザインを手がけた商品

株式会社プラグでパッケージデザインを手がけた商品

大島絹子さん(以下、大島):私は5年前に新卒で入社して、アートディレクターのポジションに就いたのが今年の夏です。いまはデザイナーとしての仕事もしながら、少しずつディレクションの仕事も増やしているところです。アートディレクターが意図していることを汲み取っていかに形にするかはデザイナーとしての私の役割ですし、反面、商品の課題を理解し、デザイナーにいかに的確にポイントを伝えられるかが、アートディレクターとしての役割です。

大島絹子さん

大島絹子さん

Q. お仕事のフローを教えてください

反迫:「デザイン×リサーチ」の案件は、デザインのアートディレクターと、リサーチディレクター、営業の三位一体で仕事を進め、ある程度固まってきたらデザイナーにオリエンテーションがあるという流れです。いまはリサーチが先行し、後からデザインが入る形ですが、理想としてはリサーチする段階の調査設計もデザイナーに共有して、最初からリサーチもデザインも一緒にやるという売り込み方をしていきたいですね。

Q. プラグの社風や年齢層

反迫:年齢層でいくと20代がいまはいちばん多いです。30代が3分の1くらい、40代が3~4人というところですね。社風はひと言でいうと「真面目」で、実直さがあります。というのも、プラグの前身「アイ・コーポレーション」の創成期は、元々医薬品の仕事100%の製作会社だったんです。薬って理由なくパッケージだけでは買いませんよね。買うだけの絶対の理由がある。その絶対の理由を追求してものをつくるのが元々のマインドだった、ということも今の真面目で実直な社風につながっているのかもしれません。

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アウトプットだけでなく、その前段をしっかり踏まえて理解した上でアウトプットできる人を重視しています。お客様であるクライアントと親身になって、腰を据えて自分のやるべき仕事を頑張りたい人には、とても良い環境だと思います。

Q. プラグに入社したきっかけ、決め手

反迫:ちょうど「デザインのお仕事」のサイトを見たときに、プラグが求人を募集していたことがきっかけです。それまでは印刷会社に勤めていたのですが、チラシやパンフレットなどが多く、どこか刹那的なんですよね。だからデザイン自体にもっとこだわることができて、なおかつ後々までカタチに残るような仕事ができたら良いなと考えたんです。そこでやってみたいと思ったのがパッケージでした。パッケージなら残りますし、試飲や試食もできないのにパッケージを見ただけでお金を払おうと決めるわけですから、それってとてもおもしろい仕事だなと。

大島:私がプラグに入社を決めた理由は、大学での会社説明会でした。特にパッケージという縛りはなく、説明会を聞いて自分が納得できるところに入社したいという軸で探していました。社長がマーケティング出身なことも大きいのかもしれませんが、1つの商品をつくるにあたってどういうポジショニングで、他社にはこういう商品があるからその場合の戦略はこうあるべきだ、という説明がすごく腑に落ちたんです。

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「とにかくかっこいいものがつくりたい!」という人もいるかもしれませんが、理由があってしっかりそこにアウトプットできる仕事という点が、私にはとても魅力的でした。入社してみてわかったことは、それまでマーケティングを勉強したことがなくても、社長が社内で勉強会を開いてくれたりするので、入社後に改めてマーケティングの勉強ができるメリットも大きかったですね。

Q. パッケージづくりの際のポイント

反迫:消費者がパッケージデザインを見て、中身を想像し購入する。つまり、そのデザインに納得してもらわなければいけません。また、たくさんの商品から選ばれなければならないので「目に入る」ことも重要です。感覚的に気になる存在で情報が正しく伝わることが大切。ただ、目立つだけでもダメで、ただ説明するだけでもダメです。ですから私たちは、パッケージをつくる際、アイデアを感覚的な目と論理的な目の両方で評価するようにしています。また、カテゴリーやブランドによってその比重が変わるので、考える視点が多いです。

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Q. 今の仕事の魅力ややりがい

反迫:クライアントからオーダーをいただくだけでなく、問題点や課題を洗い出し、お題を一緒に見つける作業からはじまることもあり、「感動したよ」と言っていただけたり、「こうきたか!」と驚かれると、とても嬉しいですね。クライアントのリアクションがダイレクトに見えるのは楽しいです。あとは広告だと数値化するのが難しいですが、パッケージは売り上げと直結するので、結果が手応えとしてわかりやすい。そこも大きなやりがいにつながっています。

大島:やっぱり手がけたパッケージが全国の店頭に並ぶことです。私は地元が岡山なのですが、地元に帰省したときにコンビニやドラッグストアに行って、友達や家族に「これこれ!」って言うのがいちばんの楽しみかなと(笑)。例えば広告だと場所が限定されたり期間が短かったりするのですが、パッケージは一定期間きちんと店頭に並ぶのが大きな魅力ですね。

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反迫が言うように、私もクライアントとチームになって二人三脚で仕事ができることにもやりがいを感じます。ときには提案したものがひっくり返ってしまうこともあるのですが、クライアントから「ごめんなさい!」という赤字と一緒に泣きマークの顔文字なんかが入っていたりすると、信頼関係が築けている気がして嬉しくなるんです。

Q. 今後伸ばしたいこと、充実させていきたいこと

反迫:いちばんは、弊社の特徴である「デザイン×リサーチ」の部分をもっと伸ばしていきたいです。クライアントから一方的に依頼されてものをつくる仕事のやり方では、クリエイティブの範囲にも限界があります。そのためにも「デザイン×リサーチ」の領域で、オンリーワンのポジションを確立できれば良いですね。さらに言えば、デザイナー自身がそのパッケージに対して「こうでなければいけない」とか、「こう見せなければおいしそうに見えない」という理由を説明するだけの能力がなければなかなか難しい業界なので、その辺りの育成にも力を入れています。

大島:1つはディレクターとしてクライアントのよき相談相手になれるように成長すること。もう1つは、後輩が目標とする社員になることです。プラグはもともと新卒採用がなく、私の代から新卒採用が始まりました。私がプラグに新卒で入社した最初の代なので、後輩の新卒社員には、忙しいなかでもプライベートもちゃんと充実させて、「この会社で楽しく仕事をしています!」というお手本になりたいと思います。

Q. いまのお仕事をほかの言葉にたとえると?

反迫:けっこう悩むところですが、やはり「コンシェルジュ」でしょうか。前に社内のスタッフと、「困っている人がいたら解決策をスマートに提供するコンシェルジュのようになろう」という話をしたことがあって。もっと言えば三つ星ホテルのコンシェルジュのように、バタ臭くなく、スマートにサッと問題を解決していく。そんなイメージが理想です(笑)。

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大島:今の私の立場はまさに「研修医」ですね。社長が、弊社のディレクターやデザイナーが目指すべきは「医者」だと以前からよく言っているんです。問題を診断して、じゃあ薬を出しますよということで新しいパッケージを提示して、その結果クライアントの商品がよくなっていく。私はそれを医者の横について見ている研修医で、自分で全部はまだできないけれど、たまに手術のサポートをしてみたり(笑)。という意味で、「研修医」という言葉がしっくりくるのかなと思います。

PROFILE
株式会社プラグ
プラグは1988年にスタートしたデザイン会社旧アイ・コーポレーションと、1982年スタートした調査会社旧CPPが2014年7月に1つになって発足。20年以上、マーケティング分野で調査とデザインという2つの専門領域におけるプロフェッショナルスキルで、クライアントの成功に貢献。 https://www.plug-inc.jp/design/index.html

反迫洋輔 アートディレクター

1980年生まれ、広島県出身。沖縄県立芸術大学卒業後、 沖縄の印刷会社デザイン部に所属。2005年に前身のアイ・コーポレーション入社。 医薬品パッケージ・広告のディレクションを10年担当。

大島絹子 アートディレクター

武蔵野美術大学 基礎デザイン学科を卒業後、2012年にプラグの前身である株式会社アイ・コーポレーションに入社。現在は主に医薬品やお菓子などのパッケージデザインを担当。