リミックスカルチャーから新たな価値観を築く

佐藤氏携帯電話業界におけるトレンドメーカー的存在ともいえる、ソニー・エリクソン。ソニーとエリクソンが50%ずつ出資する新会社の設立後、ブランドの立ち上げから現在まで、クリエイティブプロデューサーとして日本の製品のデザインをみてきた佐藤敏明氏は、プロデューサーの立場でありながらも、第一線で活躍するデザイナーと変わらない視点で時代をとらえ続けている。

「携帯電話のデザインは、先行開発から製品の完成まで、約1年から、長いものだと2〜3年かかります。市場が求める速いサイクルに応じてデザインを変えるのではなく、時代の流れに合わせた正しいデザインを目指しています」

“正しいデザイン”とはつまり、時代にふさわしいクリエイティビティを備えていること。

「IT時代の一翼を担う携帯電話業界なので、トレンドをおさえていることは必須です。また、時代の進化や人間が求める利便性には、世界共通のニーズがあるはずと考えています。ソニー・エリクソンは日本以外に欧州、中近東、アジア、アメリカなど、基本的に全世界で活動をしている会社ですから、大きく言えば、世界の地域や人種に関係ない共通の感覚がバックボーンにあります。
そして、日本では携帯電話メーカーとして、私たちが製品を納めるキャリア各社(携帯通信事業者のこと)と協力しながら、実際に携帯を使われるユーザーに豊かさを提供するというのが基本的な姿勢です。キャリアとメーカーが一体になって、双方のクリエイティビティが相乗効果を生んでこそ、ヒット製品に繋がるのではないでしょうか」

日本国内で使われる製品に、ユーザーやキャリアとともに共有できる価値観を、世界レベルのデザインで実現する。

「親会社であるソニーが日本で作ってきたカルチャーと、エリクソンが世界で築いてきたカルチャー、両方が合わさってソニー・エリクソンですが、単なる合体では、新しいブランドイメージや製品価値を作ったことにはなりません。両者が持つ良いDNAは取り入れた上で、違った価値観を表現するデザインをしよう、と設立当初から考えてきました。幸い、ソニーにはもともと社内におけるデザインへの理解力が高く、設計エンジニアはもちろん、企画や営業などデザイナー以外の社員も、デザインを通じてより良い製品を目指す意識があるんですね。僕自身を含めみんなが、ソニー・エリクソンとしてのスタンダードを築いていきたい、と望んでいると言ってよいでしょう」

C1002S

C1002S (2001年)
ソニー・エリクソンが設立されてから、初めて市場に導入されたモデル。着せかえパネルに対応。
こういった流れから世に送り出されたソニー・エリクソン製携帯電話の第一号機『C1002S』(au向け)は、それまで存在しなかった鮮やかなオレンジ色を特徴に、強烈な印象と話題性をもって市場に迎えられた。2001年のことである。

「当時、携帯電話のカラーは若い女性用ならピンク色、男性は黒、ビジネスマン用はシルバーか白、と昔からの思い込みのような配色の感覚が業界にありました。しかし、携帯電話とは一見関係ないと思われていたファッションや個人の趣味の側面に注目すると、十人十色プラス十択(=テイスト)くらいにまでニーズの幅が広がっていることに気付いたんです。そこで、かつての男女差だとか年齢差によって切り分けていくカラーストラテジーの方法をとらずに、それぞれの世代が共有できる色を提案しました。色へのこだわりは、デザインと同時に、ソニー・エリクソンのブランドを世に知らしめる手段でもあったわけです」

「今でこそ携帯の色にこだわるのは当たり前ですが、地味で堅実な印象の配色が携帯電話の常識だった時代に、着せかえパネルによって機能以外に、形がいいとか色がおしゃれという選択肢を用意したのは、ソニー・エリクソンだと自負しています」




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「interview 2 / ユーザーの期待に応えるために、一歩先のデザインを」




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